「ほりえもんによるM&Aの真の目的」

最近のオススメは「金曜マッカーサー」。
「すときゃ」というインターネットラジオ局から毎週生放送されているラジオの番組で、声優の梶田夕貴と落語家の立川こしらのダブルパーソナリティがツートップを張っている。
昨年まで二人は、別の局で別の番組名で同じような番組をやっていた上に、十年来の友人同士だそうなので、すときゃ内では未だ放送数回とはいえ、番組内容は非常に充実した物となっている。
まぁ、構成スタッフもほぼ前番組のままで、放送局だけ移動したという形なので、積み重ねが有る分充実していて当然といえば当然。


さて、金曜マッカーサーの話題を出して、オススメとまで書いておきながら恐縮だが、最近の金曜マッカーサーはあまり面白くない。
いや、面白いことは面白いのだが、前述の別の局でやっていた別番組の最後の生放送の出来が非常に良すぎたので、最近の放送が僕の中では霞んでしまっているのだ。
それには、前番組と現番組との番組構成上の差異が大きく影響している。


前番組の最終放送では、番組中リスナーがメールを送信し、それをほぼリアルタイムで即座にDJが読みあげ、番組の根幹として反映させていた。
しかし、現番組では、番組が始まる前までに送られたメールを中心に 番組で読み上げる形式に落ち着いている。
もちろん、番組中リアルタイムにリスナーが送ったメールを読み上げる機会も多いのだが、番組に花を添えているにすぎないような、非常に軽微な存在になってしまっている。
これは、リスナーのメールを読み上げる形式の番組運営上、メールの質的量的な浮き沈みを緩和して、番組を円滑に進めていくため、また安定性を保ったコンテンツを発信するために、非常に重要な戦略である。
が、前番組の最終回生放送では、その定石な戦略を取らずにリスナーから来たメールを即時に読むという不安定な戦略をとり、安定性や円滑性を犠牲にしたのにもかかわらず、絶妙なリスナーからの投稿や、それを見事に料理したDJの手腕により、不安定な中で偶然希なる核融合が起きて大成功してしまったのである。


リスナーサイドからしてみると、前番組の最終回のようなメールを送信して即座に読まれるという即時性は、リスキーに感じられる分非常にアディクティッドであり、より一層番組に魅力を感じるようになる。
その反面、番組構成側はやはり安定性や円滑性をプライオリティの高い位置に置かざるを得ないため、現状はスリルが足りない放送に落ち着いてしまっているのだ。
これは、番組を安定的に供給するという使命を負っている以上、構成上致し方ないことで、そもそも、前番組の生放送が出来過ぎだったのだろう。
あの偶然の核融合がまた聴きたいと思うのは、贅沢すぎることなのだろう。


さて、ここまで語ったネットラジオは、従来の地上波ラジオとは、音声ベースの番組という共通項に対して、そもそもどのような差異があるだろうか。
真っ先に考えつくインフラの差異がもちろん決定的だと思うが、それに起因するインタラクティブ性により注視することが重要なのだろうと思う。


まず地上波ラジオでは、車を運転しながら聴いている人が多数いるという特徴がある。
車の運転中では、メールを出すとか電話で番組に参加するとか、そういったインタラクティブな行動に向いていないため、必然的に受動的なメディアとしてしか処理されない。
従って地上波ラジオは、視聴者参加型の番組構成には向かない。


一方、ネットラジオでは、リスナーはたいていPCで聴いているという特徴がある。
従って、なにか番組に対して意見があったり情報を提供したいと考えた場合、即座に電子メールという形で番組に意見を送信することが出来る。
そういった点で、視聴者参加型の番組構成と非常に親和性があり、受動的なメディアとしてのみならず能動的なアクションをも受動するメディアとなっている。
IP電話Skype等がより普及すれば、番組に音声で参加するというのも考えられるし、Webカメラが普及すれば映像を通じても番組参加が出来るようになるだろう。


インターネット上には他にもネットラジオ局が存在していて、その中でも「ねとらじ」が有名である。
(ちなみに、録音をオンデマンドに配信しているラジオ局なら他にも多数有るが、生放送という技術的なおもしろみがないので、ここでは触れないこととする。)
ねとらじは、前述のプロのDJが放送している放送局とは違い、素人が自宅のPCからラジオを放送する形態であり、ソフトウェアを2つほど自分のPCにインストールすれば誰でも放送が可能となるように、非常に容易に番組を発信できる構成となっている。
素人とはいえ、人気DJの番組には常時100人を優に超えるリスナーが集結し、リスナーはDJにメールやIMを送信するだけでなく、常設された掲示板で番組を盛り上げている。
DJによっては、リスナーがDJとの距離を非常に近く感じるので、リスナーは番組を共に作り上げている感覚になる。


ライブドア堀江社長が、一連の騒動でたびたび口にしていた「ネットとメディアの融合」のスタートラインは、このネットラジオなのだと思う。
先日のM&Aは、元来受動一辺倒だったメディアに、能動性を加味するという新たな展開への模索の一環なのだろう。
ねとらじM&Aしたのも、そのベクトル上であるはずだ。
このネットラジオの番組のような形態を、テレビという影響力のあるメディアで実現していくベクトル上で、さらに様々な要素を加味していくことで、消費者側の能動性をも実現できるような、真のエンタテインメントを具現化することが大きな目標なのだろう。
多チャンネル化な時代、多様な番組形態へのニーズが存在する以上、能動的な番組が台頭してくることは必然である。


このまますときゃが順調なら、コンテンツを抱えているすときゃをライブドアM&Aする可能性は十分ある。
(というか、実は既にすときゃはライブドアからいくらか資本をうけているんじゃないかと、僕はひそかに思っている。)
もし、ライブドアがこのままニッポン放送を保持し続け、かつRight Managementの落としどころを見つけることが出来れば、ネットラジオから既存メディアの変革における多くの可能性が生まれて来るに違いない。
本当はYahoo!あたりが、この路線のパラダイムシフトを推し進めてくれると、既存メディアとの摩擦も最小限におさて具現化できそうなので良いと思うのだけど、実現は難しいか。


最後に。
私が最初にネットラジオを聴いたのは、Numeriというサイトの番組が最初だった。
リアルタイムに双方向性が実現できていることに、大いに感動したものだ。
未だネットラジオを聴く機会の無い方は、機会があったらNumeriに限らずネットラジオを聴いてみて頂くとカルチャーショックに巡り会うであろう。
(僕もねとらじでたまにこっそり喋ってます。)

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ふと思ったこと(編集後記)

  • ベイズ理論でメールのフィルタリングが出来るんだから、RSS配信されるエントリも必要な物と必要じゃない物をフィルタリング出来るんじゃないか? 理論上は可能だよね。
  • 今日は26エントリ更新。約3000エントリをチェックした内、約30が印象に残った。ま、こんなもんか。ただ、4時間は時間かかりすぎ。もっとてきぱきと。
  • こういうニュースのメモ、ほぼ初めてやってみたけど、なんにもしてないのになんだか頭が良くなった気分になる。なんにもしてないのに。読んだだけなので、成長してないのに。こういうのはまっているひとは、こんな心境なのかもしれない。

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